【伝説の名機が復活】『CRフルーツパンチ』開発の裏側に迫る!
皆さま、こんにちは。
今回の開発者インタビューは、『CRフルーツパンチ』です。
『CR天下一閃』に引き続き、雑誌「パチンコ必勝ガイド」で活躍中のライター・邦彦さんにインタビュアーとしてお越しいただきました。多数のパチンコ中古台を所有し、昔の機種を熟知している邦彦さんならではの視点から『CRフルーツパンチ』に迫ります!
Aさん(プロデューサー)
・入社歴:12年
・過去に関わった機種:CR銀河機攻隊マジェスティックプリンス/CR T.M.Revolution
・好きな機種:CR天才バカボン/CR蒼穹のファフナー
・趣味:ゲーム/子供と遊ぶ
Rさん(演出設定バランス)
・入社歴:2年
・過去に関わった機種:CR天下一閃/CR銀河機攻隊マジェスティックプリンス
・好きな機種:CR餓狼伝説~双撃~/CR X-FILES
・趣味:リアル脱出ゲーム
――(邦彦)四半世紀の時を経て『CRフルーツパンチ』が帰ってきました! 面構えも先代を踏襲していてレトロ機種好きとしては興奮が冷めないのですが、まずは本機を復活させたきっかけをお聞かせください。
A 社内にこの機種に思い入れのある社員が多くて、「復刻できないか」と前々から言われていたんです。今までDaiichiでは様々な変則スペックの機種を作ってきましたが、それらの仕組みを応用すれば似たような台を作れるのではないかと思い提案しました。
――突入率は高いのに継続率は低いというのは、ありそうでなかった斬新な仕様ですね。
A 当初スペック案は沢山ありました。たとえば『T.M.Revolution』のように一撃4,000個といった仕様でも作ることもできます。ただ、そうすると継続率の壁が高くて気軽に遊べなくなってしまいます。昔のように朝イチからガチンコで打つ人が減っているご時世、そういったスペックではちょっと重たいかなと。それよりは、気軽に勝負できるスペックがいいと思いました。
――前作の『天下一閃』もそうですが、最近のDaiichiさんは短時間でも楽しく打てる機種の開発に力を入れているんですね。
A それは意識しています。今作は大連チャンするスペックではありませんので、小さい当りがダラダラ続くようなことはありません。ただ、突入率は高いので2連くらいは容易に期待ができます。つまり、1回当てれば3,500個が見えるんです。短時間勝負の方はそこそこな満足感を得られると思います。
――単発で600個程度の出玉で終わることがないのはいいと思います。Rさんは年齢的に、こういったスペックに違和感がありませんでしたか?
R 世代的に継続率が高い機種に馴染み深いというのはあります。ただ自社機の『CR天下一閃』を打って思ったのですが、1回の当りで、ある程度の出玉が約束されている安心感もいいなと。
――プレイヤーは連チャン率に注目する傾向があります。このようなスペックにするには勇気が必要だったのでは?
A たしかに勇気は必要でした。ただ、自分のパチンコの歴史を振り返ってみると、継続率が高い台で当てても連チャンしない感覚があったんです。そのうち、どうせ連チャンしないなら、1回の当りでたくさん玉が出た方がいいなと思うようになりまして。
――高継続率の機種は、大連チャンして当然という意識が強いだけに、単発やショボ連で終わった時の嫌な印象が強烈に残りますからね。
A 結局、高継続の機種は一部の人がすごくいい思いができるんです。本機はそれとは逆で、まんべんなく多くの人がそこそこいい思いができるスペックだと感じています。
――その平等な感じはいいですね。とは言え、右打ち中の連チャン率って36.2%じゃないですか。これって、そこそこ期待できる確率だと思うんですよ。しかも連チャン中の大当りはオール2,000個。適度に夢も見られると思います。
A たまに4~5連チャンしてビックリします(笑)。
――そもそも初代って大当り出玉こそ多かったですが、連チャン率って22%くらいでした。それでも、あれだけドキドキできたんです。だから今作でも十分アツくなれると思います。そして、セルデザインや電チューの配置などの面構えは初代を踏襲してますね。
A イメージはトレースしています。ただ、よ~く見比べると違うんですよ。たとえば上から2番目の役物に「2」って書いてないとか(笑)。
――象徴的でもある盤面上「FRUIT PUNCH」の字体デザインはまったく一緒ですよね。
A フォントデザインは変わってないですが、初代ではそこに今作ほど釘が打たれていなかったです(笑)
――盤面領域が大きくなりましたから、それは仕方がないですよね(笑)。
A はい、そうですね。まだまだ違いはあるので、初代を知る人は探してみてください。
――見た目で初代と大きく違うのは、下に連チャン抽選用のデジタルが付いたことですね。
A 本来は初代と同じように、大当り消化中にメインデジタルを変動させて連チャン抽選をしたかったのですが、当時と今では規則が違い、同じようにはできません。ただ、大当り中に再び数字が揃えば連チャンというのは『フルーツパンチ』の象徴的なアクションなので、それは絶対にやりたかったんです。そこで、もうひとつデジタルを付けることにしました。
――動くデジタルは違えど、数字が揃えば連チャンっていう感覚は同じなので、大当り消化中は初代と同じ感覚に陥りました。そして連チャンが確定した状態で大当りが終わっても、音楽は途切れないじゃないですか。それは意図しているんですよね。
A そうです。ずっと続く音楽に乗せて、上段の電チュー、下段の電チューと順に開く動きで、初代の一般電役ぽさが出せればなと。
ちなみに右上の電チューなのですが、これは自慢の一品でして。一種二種複合機って意図しない狙い撃ちが付きものなんです。『CR T.M.Revolution』や『CR銀河機攻隊マジェスティックプリンス』などでは対策した特殊な形の電チューを採用しています。ただ、それをこの機種に付けるとデザイン的に見た目が崩れてしまうという問題がありまして、試行錯誤した末に同じ仕様を満たす構造をチューリップタイプで作りました。
――何気ない電チューですが、すごい技術が込められているのですね。これは今度連チャンしたら覗いて仕組みを見てみないと。
A そこまで褒められるとちょっと・・・3日くらいで作ることができたので(笑)。
――通常時の7セグの動きは、初代と遜色ないように感じました。
A 演出に関しては、かなり初代を踏襲してます。というのも、当時の仕様書が社内にあったので、それをR君に渡してその通りに改めてプログラムを組み直してもらったんです。
R これがものすごく大変でして。。。というのも、規則や抽選方式などが今とはまったく違って、それが見慣れない当時の文言で書かれているんです。なのでまず仕様書を解読するのに一苦労でした(笑)。
そこから今の規則に合うようにプログラムし直しました。
――初代ではリーチがかかったときの中出目によって、大当りするかが判別できたじゃないですか。もしやそういった法則も引き継いでいるとか!?
A そうです。だからその法則を覚えている人が打てば、同じようにアツくなれると思います。
――「パチンコ必勝ガイド」のバックナンバーを探して確認しないと(笑)。
A とにかく細部まで初代を再現することにこだわっています。たとえば。7セグ自体の明るさですが、初代の微妙に薄暗い感じを再現してるんですよ。
――照度まで同じとは!
A 7セグの動きを再現するために、初代の実機を引っ張り出してデジタル変動をビデオに撮りました。その映像をスロー再生で分析して、7セグの動くタイミングとかもピッタリ合わせています。なのでシンプルモードは、ほぼ初代演出を踏襲しています。当時は保留点灯状況による変動時間の短縮機能がなかったので、保留点灯数によっては変動時間が若干違うことくらい。それもBGMを上手くループさせているので、初代と同じように感じるようにしています。
――あと『フルーツパンチ』と言えば、当たった瞬間に7セグまわりに光るバックライトですが、しっかり再現していますね。
A 初代のあの光は電球を使用していました。電球って点灯するとフワッと光るじゃないですか。今作ではLEDを使っているのですがLEDは点灯するとパッと光ってしまいます。電球の点灯の感じを完全再現するために、1/30秒単位で調整して同じタイミングでフワッと光るようにしています。もちろんファンファーレーが鳴るタイミングも忠実に合わせていますよ。
――マニアも納得の再現度ですね。そして今作では新たにバラエティモードが新搭載されました。バラエティというくらいだから、さぞかし賑やかかと思いきや、予告が5種類くらいでリーチはノーマルのみと、かなりシンプルなんですね。
A バラエティモードといえども次々に演出が発生するのは、こういう機種にはふさわしくないと思いまして。
R そうですね。派手な演出ではなく、シンプルながら演出に違和感があると期待度が上がるように仕上げています。たとえば7セグの動き方がちょっと違ったり、変動時間が長かったりとなど、いつもと違う気がしたらチャンスです。あと、予告発生のバランスもこだわりました。見た目の情報が少ない機種なので、予告を出し過ぎてはいけないと考えました。とはいえ少なすぎるとシンプルモードとの差がなくなってしまうので。
A 予告演出が出過ぎちゃうとホントに打てないんですよ。こういった7セグ機は液晶機と違って、演出に些細な変化があっただけで何かが起こるのではないかと注目しちゃうんです。だから、軽々しく演出をたくさん乗せてしまうと、どれが当たるかわからないという状態になってしまいます。
――作り手って、いろいろ演出を考えて、たくさん乗っけてしまいたくなるような気がするんですが。
A それはすごくあります(笑)。そうなるだろうなと思って、あまり演出を作らなかったんです。作ってしまうとついつい過剰に搭載してしまい、バランスが崩壊してしまうので。作り手のこだわりや思いも大事なんですが、最終的には冷静にならないといけないんです。
R 演出は少ないですけど、演出が複合したりしたらアツいといった法則などもありますので、打ち込みながら見つけてもらえれば嬉しいです。
――こういうシンプルな台は、打ち込むほど法則などを覚えて、面白みが増しますからね。あと、今は7図柄テンパイはアツい風習がありますが。
R まったくアツくないです(笑)。
A ちょっとアツくしてもいいかなと思ったんですけどね。今風なトレンドとしては、7図柄で当たったら右打ち継続が確定するくらいですね。
――液晶機を作るのとは違う苦労などあったりしますか?
A あります。たとえばゲージ(釘の配置)。このゲージに決めるまで、ものすごく時間がかかりました。液晶機だとある程度テンプレート化されているのですが、この機種はゼロから作らないといけなかったんです。デザイン的に左右対称に見えないといけませんが、左打ちしたほうがアタッカー入賞率が高まる、というようなことがないように試行錯誤しました。それで得してしまうようなことがあると、打つ方によって遊技に大きく差が出てしまい、平等に楽しめなくなってしましますので。
――いや~、シンプルな台とはいえ、開発にはとてつもないこだわりと苦労があったんですね。そうしましたら、最後に新生『CRフルーツパンチ』打つファンの皆さまにメッセージをお願いします。
A 1日中打つのではなく短時間で勝負したい方にオススメの機種です。ノーマルリーチだけというシンプルな演出ですが、過剰な演出で煽ったりしません。演出過多の液晶機に疲れたときに優しくお迎えします(笑)。そして当たれば約3,500個の出玉が見えますので。
R 若い人に触ってほしいですね。昔こんな機種があったことを知ってもらいたいです。
A そうですね。一度打てばこのシンプルさに慣れてしまうところはあるので。あと、他社でも7セグ機がありますが。そういう機種を好んでいる方は、まったく違和感なく打てます。
邦彦:当たった瞬間に点灯するバックライト、大当り消化中に連チャンが決定されるデジタル演出など、初代フルーツパンチを蘇らせてくれたことに感動しました。そして、液晶を搭載していない一風変わった機種ですが、潜伏確変といった難しい要素もなく、お二人がおっしゃるようにちょっとした時間でも気軽に打てる機種だと思います。改めてホールで打って、ノスタルジックに浸りたいと思います。
今回はありがとうございました!