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【パチンコ業界の裏側に迫る!!】プロジェクトD~挑戦者たち~ 『申請管理部』

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6号機や規則改正にも関係する申請管理部インタビュー

皆さま、こんにちは。
今回のプロジェクトD、対象は「申請管理部」です。一般企業ではあまり耳にすることがない部署だとは思いますが、遊技機メーカーにとっては、なくてはならない重要なセクションのひとつです。

遊技機の型式試験や全国都道府県の検定、つまり遊技機が市場に出るため必要なプロセスを担う申請管理部。その全貌と今や業界全体が注目する「規則」「内規」に関するあれこれに迫ります。

 

 

第三回「申請管理部」

6号機や規則改正にも関係する申請管理部インタビュー

(ナレーション)多くのパチンコ・パチスロファンを惹きつける「新台」。「どんなコンテンツが」、「どんなスペックが」、「どんな新しい仕組みや仕掛けが」、ファンの新台に対する注目度は高く、自然、それに関する情報も価値を増す。
その新台情報の中でもとりわけ早い段階で知ることができ、ある程度の内容を咀嚼できるのが
検定通過情報だ。

ただ近日ホールに導入されるであろう機種名だけが羅列されただけの情報。それでもファンの関心は高い。

 

6号機や規則改正にも関係する申請管理部インタビュー

この『検定』がどういうものなのかを正確に理解していないファンも多いだろう。

検定とは、市場に台を置くための認定だ。全国47都道府県それぞれに、都道府県下のホールへ遊技機を設置してもよい旨の許可を得る。その検査機関は警察で、正確にいえば各都道府県の公安委員会である。風俗営業等に関する権限を持つ行政機関のひとつだ。
検定を受けるためには、県ごとの公安委員会にアポを取って検定に必要な書類を持ち込む、という流れになる。

今回話を聞いたKさんは「○○県は木曜日だけ、○○県は月2回しか受け付けないなどの差があるので、そういったところは大変ですね」と語る。

 

この『検定』を受けるために必要なのが、機械の品質や性能面での担保。要は「この機械は問題がない」という保証だ。決められたルールに従って作られた遊技機かを確認し、認めてもらう。
そのために警察庁が指定した試験機関「保安通信協会」、通称
「保通協」に試験をしてもらうというプロセスを踏む。この保通協へ試験に出すことがいわゆる『申請』となり、試験にパスすることが『適合』と言われている。

 

6号機や規則改正にも関係する申請管理部インタビュー

もうひとつ、『検定』に必要な大きな証明事項がある。メーカーとして適合した機械と同一の機械を製造できる施設があるという裏付けだ。チェック機関は全国防犯協会連合会(全防連)。
以前、
工場見学でも紹介した製造設備の確認をとる組織から許可をもらわないと『検定』ができない。また、全防連から許可をもらった後も、登録内容に変更が生じた場合は、随時変更を行った旨の申請を行う必要がある。

なお、全防連に提出する書類には、工場の間取りや遊技機の製造方法・検査方法・保管方法の具体的内容から、製造や検査に使用する機器、例えば電気ドライバーやノギスといった物の配置までもが記載されているという。

 

パチンコ・パチスロに関わるチェック・試験はおおむね厳格・厳重なようだ。

 

 

『申請』への書類作りに業務の大半を割かれる

6号機や規則改正にも関係する申請管理部インタビュー

申請部はその名の通り『申請』『検定』が業務の大きな軸。特に『申請』は書類も費用も莫大になる。インタビュー時、『申請』に必要な書類のファイルを持ってきてもらった。10cmほどはあろうかという厚みのあるファイルケース。驚くことにこれで3分の1という。つまり、同様のファイルケースがあと2つあるのだ。1回の申請で10cmのファイルケース3冊分の書類。思わず、これ全部(保通協は)見るんですか?と馬鹿みたいな質問をしてしまった。

「見ますね」Kさんは笑って答える。「内容に不備があると先方から連絡があります。それを受けて、我々は即座に補正の対応を行うのですが、間違いの内容によっては即刻不適合になるケースも存在します。チェックは相当厳しいですよ。

 

6号機や規則改正にも関係する申請管理部インタビュー

この書類は機械の性能の証明書だ。諸元表と呼ばれる、機種名・会社名から始まり大当り確率がこれくらい、大当り時のラウンド数が何回、といった概要を記載した十数枚の紙を元に、諸元表に付随する様々な細かい部分を別紙で説明している。当然、規則・内規に接触していないことの説明は、プログラムなどのソフト面、盤面や役モノなどの構造、基板やハーネスといった細かな電子部品にいたるまで遊技機に関する全ての領域で必要なので、申請部の中でも人を分けてそれぞれ書類を作成しているという。

書類が完成するまでは0ベースで考えると1ヵ月半~2ヵ月。同じDaiichi社内でも申請部とは『申請』の書類を作る部署だと誤解されているという話も頷ける。

 

一方、『検定』は『申請』と比べて書類のボリュームがだいぶ少なくなるものの、47都道府県それぞれに対応したフォーマットで書類を作成する必要があるため、『申請』とは異なる注意が必要、との事であった。

 

 

手続き業務ばかりではない

6号機や規則改正にも関係する申請管理部インタビュー

申請管理部の一番の役割は、販売時の機会損失を出さないよう、販売計画に支障が出ないように、遊技機を市場に設置できるようにするまでの手はずをすべて管轄すること。

 

申請部の業務を端的に言うとこういうことだ。
ここで機械が世に出るまでの経過における申請部の関わり方を見てみよう。

 

6号機や規則改正にも関係する申請管理部インタビュー

申請業務を行うにあたり、開発者との連携は欠かせない。規則や内規でできる・できないをきっちり線引きすることも申請部の重要な仕事。
企画段階での確認・質問はもちろん、仕上がったものに対して規則上のチェック、さらに社内アイデアとして「ルール的にはこういうことができるかもしれない」といった提案などをすることもある。

 

ここでひとつ確認しておこう。

規則とは、「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則」などに代表される法律だ。風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、いわゆる風営法などと同位にある罰則規定が設けられたルールとなる。

ちなみに、内規は「その組織の内部だけで適用することを目的とした規則」のことで、パチンコ・パチスロ製造業者の団体による自主規制だ。

 

6号機や規則改正にも関係する申請管理部インタビュー

規則=法律はやってはいけないことは多分に書かれているが、やっていいことは書かれていない。そこは過去の試験結果や経験、文脈の理解・解釈など適切な加減の判断が必要となる。
Daiichiの開発者は他社が作っていない機械を作りたがる。天下一閃はその最たる例。申請部は正しいジャッジを求められる。

 

見たことのない仕組みに刺激を受け、規則や内規といったルールに則っているかどうか悩み、責任を持ってリスクの判断をする。Kさんの感じるやりがいは、まさに遊技機メーカーの持つ特性と合致するように感じられた。

 

 

――さて、思いの外、基本的な説明だけで文字数を要してしまったので、内容を2回に分けよう。後半となる来週のコラムでは、「保通協」や改正が目前に迫っているといわれる「規則」についてより掘り下げたいと思う。

次回をぜひ。

 

 

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