「1個の玉でアツくなれる機種を作りたい!」CR天下一閃開発秘話
皆さま、こんにちは。
今回の開発者インタビューは、絶賛稼働中の新機種『CR天下一閃』です。
インタビュアーに雑誌「パチンコ必勝ガイド」で活躍されている邦彦さんをむかえ、アナログ台・一撃台に対するアツい思いが交錯する熱のこもったインタビューとなりました。
Iさん(プロデューサー)
・社歴:15年目
・過去に関わった機種: CRダイショーグン/CRバイオハザード/CRタイタニック ザ・パチンコ 等
・好きな機種: 羽根モノ
・趣味: 麻雀
・普段の立ち回りポイント:貯玉して打つ!
Mさん(企画)
・社歴:6年目
・過去に関わった機種:CR魁!!男塾/CRバイオハザード
・好きな機種:CR花の慶次シリーズ/CRビッグドリーム/ハナビ
・趣味:競馬
・普段の立ち回りポイント:収支をつけない。(好きな様に打ちたいため)
邦彦さん(インタビュアー)
・主に雑誌「パチンコ必勝ガイド」で執筆しているパチンコライター。古いパチンコ台の収集家でもあり、アナログ機は大好物。
――(邦彦) デジパチとは違い、1個の玉の行方で大当たりが決まる機種を久々に打てて興奮しています! まず、この機種を作るきっかけをうかがいたいのですが。
I 今ホールには同じような機種が並んでいると思いますが、そんな中で、今の市場に無い変わった機種を出したいという想いがありました。自分はアナログ系の機種が好きということもあって、役モノにこだわった機種を作ろう!ということで本機を作りました。
M 私は年代的に、本機のように1個の玉でアツくなれるような機種をあまり遊技したことはないのですが、その楽しさをIさんから聞いていて面白そうだと思いました。
――Daiichiさんは羽根モノをコンスタントに出したりと、アナログ系の機種を大事にしていますよね?
I アナログ系機種の市場規模は小さくなってしまいましたが、技術として残していきたいと考えています。それに、コアなファンがいるジャンルなので、定期的にそのような機種を送り出し、少しでもプレイヤーさまに刺激を与えたいというのが会社の方針でもあります。
M 私も液晶機だけではなく、こういった機種もホールにあるべきだと思っています。
――完全なアナログ機である『CR天下一閃』を開発していくうえで、液晶機とは違った苦労があったと思うのですが?
I めちゃくちゃありました(笑)。
――開発期間はどれくらいかかったんですか?
I 1年くらいで完成させる予定だったのですが、下段役モノの細かな調整で苦労させられて、結局1年半くらいかかりました。
――この役モノは前例がないですからね。
I 役モノ確率がなかなか安定しなかったんです。アナログ機といえども当たり穴(下段役モノ中央のゲート)への通過率に個体差があると、お店としても営業しづらくなってしまいます。
この役モノの確率を安定させるために試行錯誤したことで、開発期間が延びてしまいました。金型の修正などをしながら、数え切れないくらい役モノを作りました(涙)。
M 社内には試作の下段役モノのステージが山積みになっています(笑)。
I 下段役モノ中央で回っている黒い役モノ(トゲトゲの根本部分)の形状も、検討に検討を重ねた結果完成しました。営業中はずっと高速回転しているので形状を目視できないと思いますが、これによって予測不能で躍動感ある玉の動きを生み出しています。
――中央軸にあたった玉がピンボールのように超高速で跳ねるじゃないですか。プラスティックでできている役モノとは思えないんですが。
I プラスティックですよ(笑)。役モノ外周にピンボールみたいな、反発するバネのようなモノは付いていません。
――あと、下段役モノでの玉の滞在時間は、その時々でバラツキがありますね?
I 最初の設計では、玉はあまり粘らず早い段階で当否が決まる設計だったんです。ただ、それだとあっさりし過ぎて拍子抜けしてしまいます。なので、ある程度の時間は玉がステージ上で粘るように跳ねる軌道を計算しました。
ただ、それでもあっさり決まってしまったり、逆に1~2分くらい長びくこともあります。アナログなので最終的には玉任せなところはあります。
――2分間も玉が粘ってたら、緊張で手が汗でビッショリになりそうです(笑)。とにかく、これはパチンコの歴史に残る役モノだと思います。2段式の役モノ構造は最初から構想にあったのですか?
I 最初は下段役モノだけの予定でした。ただ、そうすると飛び込む頻度が少なくなってしまい、こういった機種の遊技経験がないプレイヤーさまが耐えられなくるなると思いました。そこで、飛び込む量が増えるように一段階振り分けを増やしてバランスを取ったんです。
――それが上段の回転体ですね。見た瞬間、羽根モノの『イヤミのここで一発』を思い出しました。
I 同じ縦置きの回転体なんで『イヤミのここで一発』の技術、イメージを少し引き継いでいます。
――上段の回転体ですが、赤い突起に干渉することで玉の到達タイミングがランダムになるので、入賞穴の予測ができませんね。
I 回転体だと狙い打ちされる恐れがあるので、玉の動きが不規則になるように回転体のスピードを調整して、さらに赤いリブでイレギュラーな動きを生むようにしています。ですので、狙って打つのではなく、玉の動きに注目してもらえれば嬉しいです。
――回転体の穴にすぐに吸い込まれたり、粘ったりするのも意図的なんですよね?
I はい。それも止め打ち対策です。
――こういったアナログ系の機種だと、どうしても攻略やゴトの心配がありますが、かなりの対策はされているんですね。
I そこは徹底しています。狙い打ちができてしまうと、それをやらないと勝てなくなってしまい、純粋に楽しみたいプレイヤーさまが勝てなくなってします。
あと、ゴト対策として各種センサーも搭載しています。羽根モノを作っているときから、徹底して攻略やゴトはさせないぞという思いがあります。
M やはり正式な遊技でなくなってしまうので、そういったものをメーカーとして排除していきたいと思っています。
――液晶を付けようとは思わなかったのですか?
I いろんな演出表現ができて面白いとは思うのですが、玉に集中してほしいと考えてました。なので、液晶を付けるという考えは最初からなかったです。
M 私は液晶世代ですが、玉が下段の当たり穴に入るか?!というドキドキ・ハラハラがキモなので、液晶を付けると逆効果だと思います。あと、社内でも昔のアナログ系の機種が好きだった方々に聞き取り調査をしたのですが、皆さん口を揃えて「液晶は要らない!」と言われました。それこそ、ランプも派手なものはやめてほしいという方もいました。
――液晶がない分、サウンドが凝っていますね。
I 「シンプル」と「合戦」の2つのモードを搭載しています。「シンプルモード」は役モノに飛び込んだ際に効果音が鳴るだけです。なので、昔の機種のように無音の状況で集中して玉を弾いてもらえればと思います。
そして「合戦モード」では、役モノに飛び込んだときのボイスをはじめ、通常時からBGMが流れます。今のデジパチに慣れたファンの方々は、通常時になにか鳴ってないと静かすぎて間持ちがしないと思ったのでこのモードを搭載しました。
M 「合戦モード」では飛び込んだ瞬間の回転体の位置に応じたボイスが発せられるんです。回転体のクリア穴は狙えないので、どのボイスがアツいとかはないですけど。あくまでも悪ふざけです(笑)。
I ただ、偶然にも特定のボイスで回転体をクリアすることが続くと、もしかしたらアツいタイミングがあるのか?と思うじゃないですか。そういう意味でもオカルト的に楽しんでもらえればと思い、Mが中心になって作ってくれました。あと、下段に玉が到達した時に発生するボイスもいろんなパターンがあります。液晶機に慣れたファンの方々にとって、玉が弾かれユラユラしているだけではちょっと物足りないんじゃないかと。
本機は戦国をモチーフにしているので、下段役モノで玉が戦っているというイメージで、その様をボイスで表現しています。ステージで玉が動いている間、合戦が繰り広げられ優勢になったり劣勢になったりします。そして、中央突破時は「敵将討ち取ったり!」と勝利の雄叫びをあげます。
――玉の動きとボイスでの優劣は関係ないんですよね?
I まったく関係ないです(笑)。あくまでも長い時間飽きさせないための演出です。玉の動きを盛り上げて、感情に起伏ができればいいかなと。
M ボイスの内容をよく聞いてください。けっこう悪ふざけしているんで。Daiichiの本気を耳で感じてください(笑)。
――機種のモチーフを戦国モノにした理由はあるんですか?
I アナログ機ということで、もともとはレトロなデザインで、サウンドも昔のようなピコピコした電子音で作る案があったんです。ただ、そうすると懐かしさはあるのですが、古くさくて敬遠する人もいるんじゃないかと。とくに若い人に新しい機種として受け入れてもらうために、古臭さを消したかったんです。
それでいて玉の動きでアツくなれるのは何か、と考えたときに、戦国武将とか男の闘いみたいのが思い浮かびました。それで戦国っぽい感じにしました。
M 1個の玉で当たりか否かが決まるというゲーム性から、「一撃必殺」というワードが一部で出てきまして。それには戦国モノが当てはまるかなと思いました。
――「天下一閃」というタイトルに込められた意味は?
M これは、略すと「天一」になるんです。
I 某ラーメン店と同じ名前なんですね(笑)。当面の我々のライバルは、似たようなアナログ機である某餃●で有名なお店とのタイアップ機なので、向こうが餃●ならこっちはラーメンで対抗だと(笑)。
――え!? 機種の名前って、そんな付け方するんですか??
I すみません嘘です。「天一」の件は完全に後付です(笑)。そもそも「一閃」というのが、一撃で当たる感じを表しているなと。あと、「天下一」という字面も、戦国モノ的な印象が感じられるのではないかと思って付けました。
――あくまでも、餃●に対抗するために、ラーメン屋の愛称になるように名前を付けたわけではないんですね(笑)。
I はい、全然違います(笑)ただ、プレイヤーさまの間で「天一」と略していただければ面白いなと。ちょっと期待してます(笑)。
――2,250個払い出しの2回ワンセットというスペックですが、そうした理由は?
I 短時間でどのくらいの出玉が得られれば、それなりにアツくなれるか?といろいろ考えました。そんな中、『CR T.M.Revolution』の一撃4,000個というのがあったり、昔のアナログ系の機種も4,000個で打ち止めが主流だったりしたので、そういう印象があってか、社内でも4,000個がちょうどよいという意見が多くて。
2,250×2は払い出し出玉の表示ですから、実質的には1回の当たりで約2,000個になります。それがワンセットで4,000個前後が獲得できる計算です。
M もう少し役モノ確率を甘くして出玉を減らすことも考えたんですが、聞き取り調査をしたところ、こういったアナログ系の機種は2箱山盛りが欲しいという意見が多かったので。
――連チャン性を付けようとは思わなかったのですか?
I 連チャン性を付けると射幸性が上がってしまい、結果的に飛び込みの数が減ってしまう懸念がありました。それに、連チャン性を付けてラウンド振り分けを搭載したりすると、一撃の可能性もありますが、一箱も出ないうちに連チャンが終わってしまう懸念もあります。それだけは避けたくて。
一回当てれば4,000個をお持ち帰りできるという皮算用ができたほうが、勝ちへのイメージができると思ったので割り切りました。
――PVでもそれは謳ってますからね。
I こうやって余計なモノをなくすことによって、一点集中でアツくなれるんじゃないかと。
――Mさんは年齢が若いから、連チャンしなきゃって思いませんでした?
M 会社帰りの短時間でひと勝負できて、ほどよく夢が見られる機種があるべきだと思っていたので、こういったスペックはアリだと思います。それに確変に入ったのに4R単発で終わってしまうことに、私自身疲れてしまったので。
I 若い人にとっては逆に新しく感じて、「面白い!」と思ってもらえれば幸いですね。
――この機種をどんな人に打ってほしいですか?
I まずは、昔のアナログ機を打っていた世代の人に打っていただきたいです。「こういうの待ってた!」って言ってもらえると作った甲斐があります。あと、液晶機に慣れた若い世代の人たちに、こういうパチンコがあることを知ってもらいたいです。そして、「アナログ系の機種もアリだ」って思ってもらえたら嬉しいです。だから当然若い世代の人たちもターゲットにしています。
M 羽根モノ好きな若い人はそこそこいますから。そんな方々にも楽しんでもらえると思います。
――ここに注目してほしいってところはありますか?
I 歌ですね。戦国モノということで、真田幸村をイメージしているのですが、真田と言えば「赤備え(あかぞなえ)※」じゃないですか。なので、盤面とか役モノを赤ベースにデザインしています。そして、時短中から2回目の大当りまでに『紅い流星』という、本機のために書き下ろしたオリジナルソングが流れるので、ぜひ聴いてください!
※赤備え:戦国時代から江戸時代にかけて行われた軍団編成の一種。構成員が使用する甲冑や旗指物などの武具を、赤や朱を主体とした色彩で整えた編成を指す。戦場でも特に目立つため、赤備えは特に武勇に秀でた武将が率いた精鋭部隊であることが多く、後世に武勇の誉れの象徴として語り継がれた。
――では最後に、これから『CR天下一閃』を打つ方々にメッセージを。
I 下段役モノは今までにない面白さがありますので、そこに玉が行くまで打ってください。なかなか飛び込まなかったり、上段でハズされてイラッとすることもあるかもしれませんが、それを乗り越えた先には、めっちゃ面白いものが待っています!
M こういった機種が皆さまのご支持を得られると、今後もアナログ要素のある機種の開発がしやすくなりますので、ぜひ打ってください! そして、役モノとゲージと玉の動きを楽しんでください。
邦彦:CR天下一閃の開発者インタビューいかがでしたでしょうか。僕としても、衝撃的な下段役モノの玉の動きは絶対に見てほしいです。そして、IさんとMさんのこの機種にかけてきた情熱を思い出しながら、僕もホールで玉の動きを満喫させてもらいます。
今回は本当にありがとうございました!